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シンポジウム
「第六回どこでもMYカルテ研究会」総合討論会

司会:竜 崇正(医療構想千葉代表、NPO法人医療福祉ネットワーク千葉理事長)
田口 空一郎(構想日本・河北総合病院)

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*アメリカと日本の大きな違いは?
■ (工藤) アメリカにはリーダシップが強く存在していた。資金面の違いも大きい。患者が使えることが重要。連邦政府でもmeaningful useができる医師に対してインセンティブが付与されることで成り立つ。病院経営の効率化、データマイニング。患者に還元し、医療の質を向上させることも重要だが、ヒストリカルデータを政策につなげることも大事。見えるだけ、つながるだけでは限界がある。国民共通IDでなくてもよい。

*データの集積とビッグデータの利用について
■ (姫野) ヒストリカルデータをやりたくて電子カルテに取り組んでいるようなもの。科学的な医療をやりたくて、学生時代からコンピュータにかじりついて多変量解析をしていた。40年前はデータがない。ほこりまみれになって1カ月分の紙を集め、入力して、解析は5分で終わり。電子カルテはデータを集約するための通過点に過ぎない。大量データを解析できることで大きく変わる。
■ (原澤) データベースを運用して5年後からクリニカルな研究ができるようになった。色々な条件のかけ合わせが自在にできるようになる。心臓血管研究所から毎年40本の学会発表ができるようになった。被災地の現場の医師にはまだ難しい状況。生活習慣病や廃用症候群等で亡くなる方が多く、被災地以外の地域より死亡率が高いようだ。一方で、被災者はモルモットにされたくないという倫理的配慮もある。子供の身体発達が半年から1年遅れている印象がある。心理的ショックによるものか、屋内にこもっているためか、検証が必要。
■ (宮川) 紙地図と紙カルテのたとえ。紙地図はカーナビゲーションになった。カーナビゲーションは道行に有用な情報をサジェストしてくれるが電子カルテはサジェストしてくれない。紙カルテはカーナビゲーションと同じレベルのものになっていない。もちろん運転するのは医師だが、少しずつでもサジェスチョンをできるようになれば、便利になり、誤診が減るかもしれない。
■ (熊井) 今のデータの保持方法で十分か、疑問。今は診療の継続くらいが精一杯。これからの医療を考えたら、本当に診療に必要な情報が入っていない。

*データ解析と政策提言
■ (竜) 医療のIT化は、データマインドを持ちサイエンスを目指して提案すべき。がんセンター同士で連携すると、センター間の差異が見える。これを政策提言に結びつけてゆく気概が必要。
■ (フロアより、神奈川県・首藤) 日本のプロフェッショナルコミュニティのすごさを感じた。日本の平均寿命は食生活等だけでは説明できず、コミュニティや人間関係が関係しているとのハーバード大学の研究がある。インフォマティクスは世界的な競争になる。本日の日本のプロフェッショナルコミュニティもマインドを持って日本を支えている。政策との連動も必要と強く感じた。
■ (フロアより、経済産業省・野口) 3年前にIT室で医療情報を担当した。当時からすると隔世の感がある。当時は電子カルテ、地域連携。そもそも電子カルテに意味があるのか、などの批判も受けた。地域連携には情報共有が必要で、ITにも意味がある。ITはツールであり、ヒューマンネットワークがまず大事。地域連携がなかなかつながりにくい。患者を重視した医療情報連携としてどこでもMY病院の概念を提示した。どこでもMY病院のメリットについても指摘を受けつつ、お薬情報や糖尿病に意義を見出してきた。行け行けも好きだが、日本国内のコンセンサスにも配慮が必要。

*患者にとっての医療情報の価値
■ (原澤) 患者と情報を共有することは非常に重要。在宅医療に移行する時も、家族等キーパーソンを招き、相談する。合意形成の過程を重ねることに意義がある。
■ (宮川) 実際の診療の中で全ての患者にきちんと説明できているわけではない。患者に選んで頂きたい。情報が多すぎると悩む患者もいる。医師の指示通りでうまくいく場合は良いが、そうとは限らない。。
■ (竜) がん患者に1時間かけて説明しても、頭の中が真っ白になっていて、再度説明が必要になることもある。ここにITを有効に活用できる。
■ (姫野) 慢性疾患の患者が増えている。リウマチ患者に何から何まで意思1人で説明できるわけではない。研修を受けた認定看護師等から30分等、十分時間をかけて説明する。
■ (工藤) 宮川院長のスライドにあった健康情報の価値。アメリカ国民は、皆保険がないからこそ、意識が高い。誤った治療を受けると、高額の医療費を請求されるため、治療プランについても患者本人が厳しくチェックする。日本のようにフリーアクセスで大病院の専門医を受診することはできず、主治医からの紹介が必要という違いもある。

*電子カルテベンダの使命
■ (竜) 国民IDについては政治とマスコミの双方のレベルの低さにがっかりする。姫野理事長の提案は素晴らしいが、電子カルテベンダが不要になるのか?
■ (熊井) 簡便な見方、安全性からNTT東日本のタイムラインにたどり着いた。色々なパターンを作り、選択し、よいものが生き残ればよい。
■ (竜) これまでは富士通やNECが競争して質を高めてきた。患者にメリットがあること、連携にメリットがあること、政策的にメリットがあること。ベンダにも頑張ってほしい。ICカードも忘れてしまうので、携帯電話に入れてほしい。有倉参事官の資料には携帯電話が含まれていた。
■ (工藤) PHRは携帯電話で参照できる。IDについては分からない。

*その他
■ (フロアより、都立大塚病院・鶴田) がん対策に関しては、相変わらずクリティカルパスを紙ベースで行っている。本研究会から厚生労働省等に提案して頂きたい。
■ (竜) 有識者の非常識を破るのは現場の力。現実として、どこでもMyカルテは国が考えているより先行している。
■ (会場より) MICでは鍵はどのように管理されているか?
■ (宮川) IDとパスワードだけ。救急隊には救急用コードを渡し、医療機関には認証を取得した医療機関だけが参照できる。3回認証に失敗するとデータはクラッシュする